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明治座5月『魔界転生』上川隆也×浅野ゆう子×松平健 スペシャル鼎談

心に刺さる、人の情と親子愛、人生の重み

更に練り上げられた『魔界転生』。
2018年の初演から携わり、要の役を担う
上川隆也、浅野ゆう子、松平健が
お稽古の様子や作品への思いを熱く語ります。

伝説の親子対決再び。
あまりに見事で、稽古場ではため息が!

――『魔界転生』といえば、柳生十兵衛(上川)と父・宗矩(松平)の熱い決闘シーンが生で見られるのにワクワクします。お稽古で久しぶりに剣を交えた手応えはいかがですか。

上川 松平さんの殺陣は変わらず速さも冴えも見事で、松平さんが殺陣稽古の後はキャストからため息が漏れるほど。あ、この「みごと」は「美事」と表記して下さい(笑)。相対する僕も感銘を覚えながら務めています。
松平 殺陣は前回とは手が変わり、より激しくなりましたよね?
上川 はい。
松平 コロナ対策で舞台上の人数を減らしている分、それを全く感じさせないくらいの大きさ、勢いと激しさが加わりました。
上川 それでも松平さんは楽々やっていらっしゃるように見えます。立ち回りの後も息一つ上がっていらっしゃらない。
松平 上川さんの殺陣とは量が違いますから。
浅野 本当に松平さんの殺陣は美しくて、動きや所作の一つ一つに見惚れてしまいます。そこに立ち向かう上川さんがまたパワフルで、胸がキュンとするくらい格好良くて。お二人が向かい合う姿は、稽古場でも一人のファンとして思わず涙してしまいます。
上川 稽古場で松平さんが宗矩公として佇む姿が、僕の個人的な感想ですが初演と少し違うように感じられるんです。
再演として作品への思い入れからか、或いは役柄に対する馴染みがもたらすものなのか。当初あった宗矩としての重厚感や威厳に、柔和さが加わったように思います。だからこそ、その後の展開が悲しくもあり、恐ろしくなるわけですが。
特に冒頭で十兵衛と宗矩が木刀を交えるシーンでは、父親の愛情が垣間見える気がして、僕としてもその後の展開を違った解釈で臨める、その為の力をいただいている感じがあります。
松平 確かに宗矩は一度経験した役ですから、その意味ではより愛情が深まったかもしれませんね。

浅野 私は以前松平さんのドラマ「暴れん坊将軍スペシャル」にゲスト出演させていただき、そして『魔界転生』でご一緒させていただきました。前回は横に並ばせていただくのも緊張したものですが、今回なんとも愛らしい笑顔で迎えてくださり、時折ふと笑いかけてくださるのが嬉しくて。また若いキャストたちが殺陣稽古をしている様子をご覧になる、その眼差しが愛情たっぷりで、とても愛にあふれた方だと感じております。

宗矩と十兵衛、淀殿と秀頼。
二つの親子愛がより強調される

――松平健さんのお人柄が伝わってきますね。主演の上川隆也さんはどんな俳優さんだと思われますか。

浅野 NHKの大河ドラマ「功名が辻」(2006年)でお世話になり、『魔界転生』はそれ以来の共演です。人としてとても大きな方というイメージを持っております。今回も上川さんの器の大きさに改めて、感銘、感動のようなものをいただいています。この状況でのマスクをしてのお稽古は本当に大変ですが、上川さんが座長として、キャスト一人一人を前から後ろから引っ張り、押して、盛り上げ気遣ってくださいます。それを受けて、私も毎日頑張ろう!と力が湧いてくるんですよ。
松平 その通りですね。上川さんはこの座組を引っ張る、大きな懐の持ち主だなぁと思います。雰囲気作りからみんなを見守る姿勢まで、実にパワフルに取り組まれている。これからの演劇界を担う、素晴らしい俳優です。
上川 ありがとうございます。

――淀殿役の浅野ゆう子さんはどんな印象ですか。

上川 浅野さんは初演の際、登場なさった途端に圧倒的なパワーで『バーン!』と存在感を示されるのが印象的でした。嬉々として舞台に出て行く姿に、この作品をとても愛していらっしゃることが伝わり、そのパワーを僕もいただいています。実は宗矩と淀殿こそが、この『魔界転生』を支える二本の柱。だからこそ、作品に対するお心の寄せ方を、とても嬉しく思っています。
松平 浅野さんは大変魅力的で可愛らしく、見ていると微笑ましくなります。その上、締めるところはしっかり締める、そんな大人の芝居が素晴らしい。今回、淀殿と秀頼、そして宗矩と十兵衛という二つの親子愛がより強調されて、より良い作品に進化しているのではないでしょうか。

――親子愛の話が出ましたが、松平さん、十兵衛を父・宗矩の目線で見るとどんな息子ですか。

松平 自由奔放で父親の手には追えない。いわゆる何を考えているのか、わからない息子です。
上川 (笑)
松平 剣術においては自分を越えるであろう、その恐ろしさを父として胸に秘めています。息子だけれども、いつ脅かされるかわからない存在という。

――十兵衛から見た宗矩は?

上川 高潔にして無比な人。その高潔さは十兵衛には持ち合わせる事が出来ないものなのでしょう。それは剣術においても同じ。父上は剣にもその『高潔』を醸している。だからこそ、そんな存在である父が十兵衛の中で大きくなっていく。常に父に対し、畏怖をも含んだ敬意を感じています。

人と人の情の交わされようは、この舞台版ならではの描写

――興味深いですね。この『魔界転生』はアクション、フライング、映像とド派手な視覚が印象的ですが、そこに浮かび上がる人間ドラマこそが真髄だと思います。登場人物それぞれの背景と生き様、そして人と人の繋がりが鮮明に感じられるというか。

上川 山田風太郎さんの原作小説は、忍法帖シリーズの中でも最高傑作と言われ、完成度も非常に高い。ただ共感という意味では、そうした視点では描かれていない作品だと思います。読み手が十兵衛に憧れ、その活劇に打ち震え、アイディアに驚嘆し……という心の動きはあるとしても。
唯一宗矩と十兵衛の対面にその片鱗が見受けられますが、強く描かれているかというと実はそうでもない。そこを一段踏み込んで、人の情が絡む物語に昇華させたのが、マキノノゾミさんの脚本と堤幸彦さんの演出による初演版です。
だからこそ、初演は10万名ものお客様にご覧いただけたのではないでしょうか。
男性のみならず女性も含め、この物語に描かれている人と人の情の交わされようは、この舞台ならではの描写と言えるでしょう。
浅野 私事で恐縮ですが、この一年、死というものをものすごく身近に考えさせられました。高齢の母が神戸で頑張っておりまして、帰りたい、会いたいという気持ちが強く、でも万が一を考えて、昨年は我慢しました。
改めて、私自身が親子について向き合ったことで、今回、淀殿の息子・秀頼に対する愛をより深く感じ、演じている気がします。お稽古をしていると、親と子は切ないものだなぁと、すごく心に刺さるんですね。
人は生きていること自体がすごいのだと、人生の重みを実感しています。
松平 登場人物それぞれ、その死の裏には一体どんな思いがあるのか、考えると深いですね。特に魔界の者たちは結構な恨みを持っているわけで、十兵衛はそんな彼らと対峙する…。
人間模様が大変よくできていて、今の時代にも通じるところがあるかもしれませんね。

――明治座の魅力を教えてください。

上川 ご覧いただくお客様の人数と、舞台と客席の距離感が見合わないような感覚があります。
舞台に立っているとお客様が非常に近くに感じられて、動きのみならず表情までもお届けできるような、とてもやりやすさを感じられる劇場です。
明治座のスタッフの皆様が作ってくださる空気も含めて、ここで演じるのはとても楽しいです。
浅野 明治座には、長く多く立たせていただいております。
こうして伺うと、スタッフの皆さんが「お帰りなさい!」と迎えてくださっているような気持ちになれる、暖かくて大好きな劇場です。海苔が入った和風のサンドウィッチが大好きです(笑)。
上川 美味しいんです(笑)
松平 私は1982年、東京で初めて立った劇場が明治座で、昔の建物のときからお世話になっています。
お客様が観劇を楽しめて、お食事も美味しく、買い物もできる。一日を楽しく過ごせる素敵なところです。

――最後に読者の皆様にメッセージをどうぞ。

上川 演出の堤さんがより楽しんでいただける工夫を凝らしてくださり、カンパニーが一丸となって日々、稽古に励んでいます。
限られた状況だからこそ、ご覧いただく方の記憶に残るお芝居をお届けしたい。2018年以上にお楽しみいただけると思います。ご期待ください。
浅野 皆さまにお目にかかれますことがこんなにも幸せなことなのだと心より感謝いたしております。パワーアップした淀殿をお届けできますよう日々励んでおります。
明治座にてお待ち申し上げております。
松平 『魔界転生』はリニューアルして、更なるパワーアップを目指しています。前回とは一味違う面白さが味わえると思うので、楽しみにしていてください。

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